センスのある女性
"揚げもの"なんていう、やりつけない人にとってはじつに面倒な作業を、事も無げにやってのけるこの人に、私は不思議な力強さを感じました。
・・・しかもそのチーズフライには少々の粉砂糖がかかっていて、甘すぎない手作りふうのジャムとのバランスは絶妙。
揚げたては申し分なくおいしく、手作りクッキーなどにありがちな"自己満足"も、冷蔵庫一掃の有り合わせ料理にありがちな"押しつけがましさ"も、そこにはなかったのです。
あるのは、"生きるセンスに満ちた女"の"とっさだが心のこもったもてなし"と・・・
10年たっても忘れられない美味しさのインパクトだけでした。
こういう女性に限ってしみひとつない美しい肌をしているものです。
また大勢でバーベキューの用意をしていた時のこと。
こういう時は、日頃キッチンに立ち慣れている者が、自然と中心になって手際よく事を進め、ポーッとしている者に指示したりするもので
「私、何をすればいいかしら」
・・・なんて、オドオドしていたある女性に、その中心人物が
「それ切っといて!」
・・・とニンニクを指さします。
一体どこで切るの?というような混乱の中、隅のほうでコンコンコンコンと何とも歯切れのいい正確な包丁の音がします。
その女性がどこからか見つけてきたマナ板代わりの板の上で、フルーツナイフを使ってニンニクをスライスしており、その早さ、スライスの薄さは、何ともプロっぽいですよね。
それだけのことですが、何だか素敵でした。